民主党小沢一郎代表は、12日に発表した次期衆院選1次公認で、自身
を岩手4区の候補者に正式決定するのを見送った。小沢氏の立候補先に関
してはこれまでも太田昭宏公明党代表の地元・東京12区への「国替え」
説が流れたことがあり、再び憶測が広がりそうだ。小沢氏は「おれの所は
空けて、どういうふうにも動ける態勢にしておいてほしい」と選対幹部に
指示したという。鳩山由紀夫幹事長は12日の記者会見で「現在空白の中
で相手がそれなりの方の選挙区に、背水の陣を敷く小沢代表の思いを象徴
する形で決定するのではないか」との見方を示した。民主党が公認内定を
出していない大物議員の選挙区としては、小泉純一郎元首相の神奈川11
区、安倍晋三前首相の山口4区、福田康夫首相の群馬4区などがある。

 

小沢代表の国替えは何度か持ち上がった話だが、次期衆院選に政治生命を
かけると意気込む中で、ある種の決意表明のようなものなのであろうか。
現に岩手4区の候補者を正式決定せず、自由に動けるような態勢を組んだ
のは事実である。これまで圧倒的な票差で敗れてきた選挙区に、敢えて乗
り込むことで民主党全体を奮起させるきっかけを作る、これが実現するな
ら正に背水の陣だ。自民党総裁選の話題で一色であり、解散総選挙が想定
よりもかなり早くなりそうな状況で、何の準備もせずに敵陣に乗り込むよ
うな真似はしないであろう。ある程度の観測気球を放っておいて、結局の
ところは岩手4区を確実に押さえる方向に回ると予想される。代表がこれ
だけの気構えなのだから、気を抜かずに優位な風をいかせとの小沢氏なり
の訓示なのかもしれない。