衆院解散・総選挙の日程がずれ込む気配が強まっている。麻生太郎首相は
世界的な金融不安を受けて「景気優先」を強調し、2008年度補正予算
案の成立に全力を挙げる姿勢を明確にした。予算案の週内の衆院通過には
一応のメドがついたものの、参院での野党の出方が見通せないなど早期解
散への不確定要素は増えている。「補正予算が成立したら解散だろう。み
んな選挙に動き出しているのに、そんなに先延ばしできるわけがない」。
自民党の有力幹部はこう語る。首相は6日の衆院予算委員会で「補正予算
をまず審議して上げるのが一番だと思っており、この段階で解散という話
を考えているわけではない」と強調した。与党は補正予算案の来週中の成
立を目指すが、衆院選の「11月2日投開票」の可能性はほぼ消えたとの
受け止めが大勢。

 

世界的な金融不安に直面して、早期解散のシナリオは脆くも崩れ去ってし
まった。だが、これで補正予算案に堂々と取り組む大義が出来たわけだが、
野党が政権奪取のために麻生政権への攻勢をさらに強める可能性がある。
そうなると何のために福田前首相から麻生首相に首を挿げ替えたのか、与
党内からは相当な不満が出てくるだろう。特に福田政権の命脈を絶ち切っ
た主な要因とされる公明党から、麻生首相へ解散を求める圧力がかかるの
ではないか。それでも解散を先延ばしに出来たのなら、次期衆院選は意外
に先の話となるかもしれないが、遅かれ早かれ今年中の解散はもはや必至
である。参院を押さえる野党が補正予算案の審議に協力するかは、早期解
散が得か、それとも引き伸ばして麻生政権を叩いた方が得か、結局はその
判断次第とも言えそうだ。