業務停止命令を受けたマルチ商法業者から献金を受けた問題で、民主党
前田雄吉衆院議員は16日記者会見し、次期衆院選に立候補しない考えを
正式に表明した。同日午前に党本部に離党届を提出した。「なんらやまし
いところはない」と豪語していた姿から一転、涙ながらの釈明だった。マ
ルチ商法業者には「いい業者」と「悪い業者」がおり、「いい業者」を伸
ばすことが持論だったが、業務停止命令を受けた業者から多額の講演料を
受け取っていたことが判明した。先月19日、次期衆院選のため、顔写真
撮影に応じた同じ会見場で、前田議員は不出馬を苦しそうに語った。午前
11時、愛知県庁の県政記者クラブ内の会見室。前田議員は紺色のスーツ
に赤色のネクタイ姿、胸には議員バッジを付け、冒頭で「みなさんに迷惑
をかけたことをおわびしたい」と語り頭を下げた。

 

次期衆院選を目前にして、与党から逆攻勢をかけられかねないと小沢代表
は判断したのであろう。小沢グループ一新会」の事務局長である前田勇
吉議員を切り捨てた。それもそうだろう、被害が絶えないマルチ商法と民
主党議員との深い関係がクローズアップされ、「国民生活第一」を前面に
掲げる党の看板に大きな傷が付いたのだ。むろん与党でも献金を受けてい
る議員がいるとは思うが、業界擁護の国会質問を活発に繰り広げていたの
は前田議員の他にはいないのではないか。それにしても「やましいところ
はない。国会質問と献金との連動性もない」と正当性を強く主張した割に
は、なぜ次期衆院選の出馬を取り止めるのか。それに対する説明が「小泉
旋風で落選している仲間たちに迷惑をかけた。仲間の足を引っ張るわけに
はいかない」との理由だが、これが次期衆院選に全力を賭ける小沢氏なり
のやり方なのだろう。不信感だけが残る結末となった。