与党内では27日、次期衆院選は年明け以降に先送りされるとの見方が強
まった。麻生首相は同日夜、自民党細田博之幹事長らに対し、30日に
公明党太田昭宏代表と会談し、その結果を踏まえ同日中に衆院解散・総
選挙に関する見解を正式に表明する意向を示した。首相は金融危機に対応
するため「政治空白」をつくらない意向を重ねて示しており、解散を当面
先送りする方向で調整を進めるとみられる。与党幹部は27日、「当面、
解散はない」と断言。自民党4役の1人も「解散できる時期ではない。2
補正予算を今国会中にも成立させる必要がある。年内総選挙はない、春
だ」と述べた。11月中の衆院選実施を求めてきた公明党内でも、幹部の
1人は「完全に先送りの流れだ」と指摘した。

 

選挙管理内閣として立ち上げられたはずの麻生政権であるが、世界的な金
融危機の前に、衆院を解散するとは言えない状況だ。これでは福田前首相
は何のために政権放り出しと批判されながら退陣したのかと、悔しがって
いるのではなかろうか。福田前首相を政権の座から引きずり下ろしたとさ
れる公明党も、このタイミングで解散をしろとは言えず、来夏に控える都
議選の準備への影響を少しでも避けようとすることだろう。だが、早期解
散を求めてきた民主党はこれまでのように、法案成立に力を貸すことは無
く、野党が過半数を占める参院において、徹底的な抵抗を試みることだろ
う。結局のところ政治的な停滞を生み、景気落ち込みに拍車をかける恐れ
も拭えない。先送りの流れが出来てしまった以上、麻生首相も腹をくくっ
て事に当たることだろう。