航空自衛隊トップの田母神俊雄航空幕僚長が「日本が侵略国家だったとは
ぬれぎぬだ」などと主張する論文を民間企業の懸賞論文で発表したことが
31日、分かった。日中戦争での日本の侵略や植民地支配を正当化する内
容で、浜田靖一防衛相は同日夜、「政府見解と異なり不適切だ。職にとど
まるべきではない」と述べ、同空幕長を同日付で解任した。言動をめぐり、
自衛隊のトップが更迭されるのは、「現地部隊が超法規的行動を取ること
はあり得る」などと発言し、1978年に解任された栗栖弘臣統合幕僚会
議議長以来。田母神空幕長は31日付で航空幕僚監部付となり後任は未定。

 

これを自衛隊の制服組の暴走と見るべきではなかろう。田母神空幕僚長個
人の考えを論文として発表したに過ぎず、それにいちいち政府が反応しな
くてはならない理由は無いはずだ。ともすればただの言葉狩りになりかね
ず、政府見解が正しい歴史認識と言う不文律が出来かねない。この論文を
野党が攻撃材料にするのは間違い無く、それに対する影響を最小限に止め
たい与党の思惑が多分に働いているだろう。平和の党と称する公明党もこ
れを放置しては創価学会から突き上げを喰らうわけで、自民党に圧力をか
けたと考えるのは当然だ。この問題に過剰反応することは、我が国のため
にもならない。だが、政府見解が絶対的なものとならないよう、あくまで
政府見解は歴史の一見解に過ぎないことを忘れてはならない。