楽曲の著作権を譲渡すると偽り、兵庫県内の投資家の男性から5億円をだ
まし取ったとして、大阪地検特捜部は4日、音楽プロデューサーの小室哲
哉容疑者と取引の関係者2人の計3人を詐欺容疑で逮捕した。特捜部は、
小室容疑者が「音楽配信ビジネスをしたい」という男性の意向につけこみ、
事業失敗などによる借金返済のために著作権譲渡を持ちかけたとみており、
取引の経緯などを調べている。小室容疑者は「間違いない」と認め、「被
害者に申し訳ない。反省している」と供述しているという。他に逮捕され
たのは、イベント企画会社「トライバルキックス」社長、広告会社の実質
経営者の両容疑者。

 

一世を風靡した音楽プロデューサーもその転落はあっと言う間であったよ
うだ。全盛期には渡米の際にファーストクラスを全席貸し切りにすると言
う、放蕩生活が転落への一歩だったのであろうか。事業の失敗、離婚によ
る多額の慰謝料の支払いが重くのしかかり、結局は過去の栄光であるヒッ
ト曲の数々にすがる他に選択肢は無かった。著作権の一部はすでに音楽出
版社「エイベックス・エンタテインメント」などにあり、小室容疑者に著
作権譲渡の権限はなかったとされ、もはや言い逃れの出来る状況には無い。
おそらく5億円をだまし取ったところで、膨らむ借金の前には焼け石に水
であったはずだ。流行から取り残されたとは言え、過去の作品のファンも
多いだろう。自身の所属するグループのCD発売は中止され、もはや再び
浮上することは難しいのではなかろうか。