米メディアによると、4日投票が行われた2008年の米大統領選挙は、
民主党候補のオバマ上院議員共和党候補のマケイン上院議員に勝利し、
米国初の黒人大統領が誕生することになった。オバマ氏は来年1月20日
に第44代大統領に就任する。次期大統領は今後4年間、経済危機やイラ
ク問題、医療制度改革などのさまざまな課題と取り組むことになる。キン
グ牧師が人種差別の撤廃を目指す公民権運動を展開して45年後にケニア
出身の黒人を父に持つオバマ氏の大統領就任が決まったことは、米国の歴
史にとっても重要な意味を持つ。選挙戦の終盤になって、金融危機に対す
オバマ氏のリーダーシップや提案が有権者から評価され、支持率が上昇
した。出口調査では、有権者の6割が最優先課題として経済問題を挙げた。

 

安全保障には強いが経済については弱いとされたマケイン氏にとって、米
国発の金融危機が逆風となったのは間違い無い。一方のオバマ氏は経験と
言う面では未知数ながらも、何かやってくれるはずと言う期待を背負って
いた。懸念された黒人候補の支持が事前の世論調査で白人候補よりも高め
に出る「ブラッドリー効果」も見られず、追い風を得たままマケイン氏を
引き離した。だが、これで米国社会が人種差別と言う根深い問題を乗り越
えられたわけではなかろう。米国初の黒人大統領が、どのような陣容を整
えてブッシュ政権の置き土産を片付けていくのか。未知数である以上、同
盟関係を結んでいる我が国も次期大統領の動き、考えを注視せねばなるま
い。特にオバマ氏の政権を支えるブレーンが誰になるのか、共和党政権が
8年間続いてからの政権交代のため、これまでの人脈は役に立たなくなる
のは言うまでもないことだ。