米大統領に就任する民主党オバマ候補の産業政策に、日本の産業界が注
目している。金融危機克服に向けたかじ取りに期待する声がある一方、製
薬業界などは政策の内容次第で米国事業に悪影響が出るとみている。自動
車業界の最大の関心事は、米ビッグスリーにどの程度政府支援を行うかだ。
ゼネラル・モーターズクライスラーの合併の成否は政府支援がカギを握
るだけに、対応次第では業界秩序が様変わりするからだ。支援を容認する
声がある一方、「公平な競争環境だけは担保してほしい」との声も漏れる。

 

金融危機克服のために何が出来るか、変革を求められるオバマ氏にとって
喫緊の課題であろう。米国の浪費とも言うべき、旺盛な個人消費が世界経
済を引っ張ってきたわけだが、それに乗って輸出を伸ばしてきた各国にと
っては、米国がブレーキを踏めば、同じくブレーキを踏まざるを得ない。
むしろ、米国の消費頼みの構図を、そろそろ変えねばならない時期が到来
したとも言えるのではないか。他国から原料を輸入し、それを加工して輸
出してきた我が国にとって、米国市場はドル箱そのものであった。特に自
動車業界はビッグスリーと呼ばれる米国の自動車メーカーを駆逐する勢い
で伸張した。それだけに、オバマ氏が変革の名のもとに、国内産業の保護
に乗り出せば、ただでさえ減退する販売状況に大きなインパクトを与える
であろう。政治的にだけで無く経済的にも変革の波が押し寄せているのだ。