「不況に強い」とされてきた宝くじの販売が低迷している。中高年が主な
購買層であるため、年金生活に入って購入を手控える人が増えているとい
う。収入の不安定な派遣社員らが多くなり、景気悪化の影響を受けやすく
なっているとの見方もある。2008年度の販売額が、00年度以来、8
年ぶりに1兆円を下回る可能性が出てきた。「少し前まで10枚以下の注
文なんてなかったのに、最近は3〜5枚単位で買うお客さんが増えた」。
大阪市で最大級の売り上げを誇る難波の宝くじ売り場で、販売歴20年の
永井健子さんは苦笑いする。

 

財布の引き締めが想像以上に進んでいることの証左なのであろうか。一枚
300円で夢を買うことも適わない時代は、あまりに悲しいことだ。米国
発の金融危機の影響を受けて、世界的な景気後退が懸念される中で、バブ
ル崩壊後にリストラや採用を抑制し正社員を減らし、非正規社員を増やす
ことで人件費を圧縮することで利益を出してきた。バブル崩壊後の景気低
迷期を脱するためには止むを得なかったことかもしれないが、正社員にな
れずに非正規社員として働かざるを得ない若者も生んだ。だが、また景気
低迷の懸念が出てきた中で、非正規社員を切る企業も増えてくることだろ
う。給料が下がり続け、消費が冷え込むことで売り上げは落ち、それが社
員に戻ってくる、と言うサイクルが繰り返される限り、固定費の圧縮でし
か企業が利益を確保する道は無い。特に輸出に依存してきた企業は、相当
な打撃を受けることは間違い無い。