日本海を試験航行していたロシア太平洋艦隊所属のアクラ級原子力潜水艦
「ネルパ」艦内で日本時間8日夜、消火装置の誤作動による事故が発生、
20人が死亡した。事故は、太平洋地域でロシア軍が活動を活発化する一
方で、効率化など軍改革が進んでいないという問題点を浮き彫りにした。
グルジア紛争や米ミサイル防衛配備計画などをきっかけに軍事面でも存在
感を高めているロシアの新たな課題が浮上している。ロシア海軍は原子炉
は正常に稼働し、放射能漏れはないと発表した。事故調査委員会は事故原
因について消火装置の誤作動によるものと認定、「死亡の原因はガス吸引
による中毒死」と断定した。ガスが噴出した原因については「調査を続け
る」と述べた。

 

日本海でこのような事故が起きたことだけでも憂慮すべきことであるのに、
事故を起こした当事国がロシアとなると、本当に正しい情報が発表されて
いるのかを疑いたくなる。日本海は我が国の内海同然であり、ここで万が
一にも放射能漏れでもあったものなら、それこそ一大事であろう。これま
でもロシアは財政事情が厳しかった際に、処理放射性廃棄物の海洋投棄を
していた。さすがにそれは看過出来ず、退役してウラジオストクに放置さ
れている原潜の解体のための資金を我が国が援助してきたのだ。資源価格
の高騰によって、旧ソ連時代に設計・計画された兵器がロールアウトされ
てきているものの、今回のように事故を起こされたのではたまったもので
はない。兵器を作る資金は出来たにせよ、それを活かす人の質が低下して
いる可能性も指摘されている。これで事故原因がはっきりしないまま、う
やむやになるようならきちんと我が国は抗議をせねばなるまい。