麻生太郎首相は14日付の米紙「ウォールストリート・ジャーナル」に、
金融危機への対応策などをまとめた論文を寄稿した。内容自体は政府が1
3日に発表した金融危機克服策と同一だが、「外国の新聞に首相が寄稿す
るのは極めて異例」。首相は日本の存在感発揮に懸命なようだ。ウォール
ストリート・ジャーナルによると、「金融の安定を回復するために」と題
した寄稿は、金融危機の発生要因として、各国政府の監督や規制が、新た
金融商品の出現やグローバル化のペースに追いついていなかった点にあ
ると指摘。短期、中期・長期に分けた安定化策を提案している。

 

サブプライムローン問題に端を発した金融危機への影響は、サブプライム
ローン問題で打撃が少なかった我が国とて例外では無い。それでも、バブ
ル崩壊を経験し、長い間苦境にあった我が国の経験が多少なりとも、役に
立つことはあるだろう。我が国が如何にしてイニシアチブを発揮していく
かは、麻生首相を始めとして政府が前面に立たねばならない。そのために
は異例の措置であろうとも、外国の経済紙に論文を寄稿し少しでも注目を
集めねばなるまい。中国の台頭と共に「日本軽視(ジャパン・パッシング)
」が懸念される中、米国や欧州同様に民主主義の価値観を共有出来る国と
して、金融危機の克服に全力を注ぎ、アピールする必要がある。むろん、
大風呂敷を広げるだけで無く、現実的な対応が求められるのは、言うまで
もないことだ。