年金政策に関与した歴代の厚生事務次官の自宅が、何者かに狙われた。1
8日午後6時半ごろ、東京都中野区上鷺宮、元厚生事務次官吉原健二さん
宅の玄関前で、宅配便を装った男に吉原さんの妻靖子さんが胸などを刺さ
れ、重傷を負った。この日午前には、さいたま市南区別所の元次官、山口
剛彦さん宅の玄関で、山口さんと妻美知子さんが胸などを刺されて、死亡
しているのが発見された。警視庁は、元同省幹部を狙った連続テロの可能
性があるとみて、調べている。警視庁によると、吉原元次官の妻靖子さん
は「宅配便です」という声を聞き、玄関に出ると、男にいきなり胸や腹な
ど数カ所を刺された。都内の病院の集中治療室で手当てを受けた。

 

これが年金政策に不満を持つ者による犯行であるなら、連続テロの可能性
は大きいであろう。歴代の厚生事務次官が襲われたことは、ただの偶然と
は思えず、十分な警戒が必要だ。関連性は19日未明には、厚生労働省
ホームページから幹部約350人分の氏名と肩書を載せた名簿を削除した
ものの、すでに退官して久しい次官の住所まで探り当てて襲撃している以
上、この対応だけでは不十分ではないか。厚生省や政府がどう言い繕うと
も、我が国の年金は壊滅的な状況にあるのは間違い無い。だからと言って
これまで年金政策に携わってきた人々を襲うことで解決するものではない
だろう。官僚に対する風当たりは強まるばかりだが、テロは断じて許され
る行為では無い。一刻も早い犯人の逮捕が望まれる。