19日のニューヨーク株式市場で、米政府に金融支援を要請中の米ゼネラ
ル・モーターズと米フォード・モーターの株価が急落した。ビッグスリー
向け緊急融資措置を盛り込んだ法案の年内成立が微妙なことから、売りが
膨らんだ。18日の上院に続き開かれた下院の公聴会では、ビッグスリー
経営陣の批判も目立ち、政府支援の獲得のめどはたっていない。GMの株
価は前日比9.71%安の2ドル79セント、フォードは25%安の1ド
ル26セントに下落した。米上下両院の民主党が用意している緊急融資2
50億ドルの法案の年内成立が難しいとの見方が強まっており、資金繰り
懸念をぬぐえていない。

 

ビッグスリーの首脳陣は米国の雇用の10人に1人は自動車関連で、救済
することは妥当だと主張している。確かに3社は国内で25万人を雇用し、
部品メーカー、販売会社、運送業者、レンタカー業界を含めると400万
人以上が関連業界で職を得ているとされる。ビッグスリーが破綻すれば、
これらの労働者が皆路頭に迷うのだと、政権に脅しをかけているようにも
聞こえるが、これは次期大統領であるオバマ氏にも無縁の話では無い。大
統領選でオバマ氏は、全米自動車労働組合の支援を受け、ビッグスリー
援を明確にしている。だが、世論は民間企業であるビッグスリーに政府支
援をすることに対し、反対する向きもあるのだ。そのため、ブッシュ政権
で支援策を実施してもらった方が、オバマ氏が大統領に就任した際のダメ
ージは少ないだろう。250億ドルの緊急融資を行ったところで、一時的
な効果しかあるまい。この冬は越せても、次の年にはまた政府支援をせが
むのだろうか。はなはだ疑問である。