日本民間放送連盟広瀬道貞会長は20日の記者会見で、奥田碩トヨタ
自動車相談役がテレビ番組の厚生労働省批判に不快感を示して「スポンサ
ーを降りてやろうか」と発言したことに関連して、「出演者の中に感情に
だけ訴える過激な発言もある。テレビの影響力の大きさから言えばある種
の節度が必要かなという気もした」と述べた。奥田氏は座長を務める「厚
生労働行政の在り方に関する懇談会」の会合で12日、「テレビで朝から
晩まで年金や保険のことで厚生労働省たたきをやる。あれだけたたかれる
のは異常だ。正直言って、スポンサーでも降りてやろうかな」と述べた。

 

放送免許を独占するテレビ局にとっても、広告料を支払うスポンサーがい
なくては、現在のビジネスモデルは破綻する。それだけにスポンサーに引
き上げられてしまっては、あっと言う間に経営が立ち行かなくなる以上は
視聴者では無くスポンサーに視線が行きがちだ。だが、そうだと言っても
スポンサーを降りるぞと恫喝されたぐらいで、報道姿勢を変えてしまって
は「報道の自由」「社会の公器」「権力の監視」などと二度と言えなくな
ってしまうのではないか。むろん、広瀬民放連会長が「感情にだけ訴える
過激な発言」はテレビに相応しいものではない。先日の小室哲哉容疑者が
逮捕された詐欺事件にしてもそうだが、池に落ちた犬を叩き続けるが如く
報道し続けた。報道姿勢を改善するのは、まずはそう言ったところからで
はなかろうか。