麻生首相は26日、アフリカ東部・ソマリア沖の海賊対策として海上自衛
隊の艦艇を派遣するため、浜田防衛相に自衛隊法に基づく海上警備行動
発令を含めた具体的な対応を検討するよう指示した。浜田防衛相は閣議
了後、「総理から『自衛隊でも可能性の検討をもう少ししっかりしろ』と
いう話があった」と記者団に語った。派遣の時期などは示されなかった。
防衛省海上警備行動の発令によって海自護衛艦の派遣の可能性を探るほ
か、政府が年明けの通常国会に提出予定の海賊行為取り締まりを定めた海
賊対策新法に盛り込む内容を検討する。与党は新法について海賊対策のプ
ロジェクトチームを立ち上げ、具体的検討に入る方向。一方、海賊対策で
海上警備行動の発令は前例がなく、公明党から慎重論が出ている。

 

ソマリア沖への海自派遣については、自民党よりも民主党の方が積極姿勢
を見せていたが、与野党対決ムードを煽りたい民主党の執行部の判断で「
衆院選が終わった後で責任ある議論をすべきだ」と述べ、法整備に関する
与野党協議に消極姿勢を示している。このような政局重視の場当たり的な
対応をすることは、結局は自分たちの首を絞めるのがわからないのか。無
法地帯と化したソマリア沖を安全な海とするためにも、艦艇の派遣が望ま
しい。だが、厳しく制限されている武器使用、また取り締まるための法の
不備等、単に派遣すれば良いわけでもないのが、我が国の現状である。衆
院選後に議論などと悠長なことを言っている場合ではなかろう。民主党
は大人の対応をして欲しいところだが、小沢代表にとって重要なのは選挙
に勝つことに尽きる。もう少しケースバイケースの対応をして欲しいものだ。