米紙ニューヨーク・タイムズは5日付から一面にカラー写真付きのビジュ
アル広告の掲載を始めた。広告収入減を補う狙いで、初日は米CBSテレ
ビの番組宣伝広告を掲載した。広告は縦7センチ、横幅は紙面いっぱいに
広がる。これまで一面下部は主要記事の案内に使われ、時折広告があって
も小さな短行の広告だけだった。同紙は5日付記事で、一面のビジュアル
広告は「最も重要なニュースのスペースに対する広告の流入」との旧来の
見方があったとし、「(1929年の)大恐慌以来最悪の収入減に対する
譲歩」だと認めた。

 

我が国以上に紙媒体の苦境が伝えられる米国だが、インターネット興隆に
よる部数低迷や金融危機が、ますますそれに拍車をかけている。販売が減
少すれば広告で補う、果たしてそんな簡単なことなのであろうか。効果が
計りにくい上に、広告料が高い紙媒体よりも、効果が計りやすく広告料も
安いネット広告に比重が移るのは、時代の流れというものではないか。
広告の確保にすら苦しんでいるのは、我が国のメディアも同様であって、
対岸の火事ではない。これまで繁栄を謳歌してきたビジネスモデルが崩壊
し、一転して苦しい立場に立たれた時にメディアの救い手は登場するので
あろうか。第四の権力とまで言われるようになったメディア、無くなって
も困らないと判断された時を想像しているのか。足元が崩れていく中で、
どう抵抗するのかは見ものである。