参院は7日午後の本会議で、経済情勢の悪化を踏まえ、政府と企業の双方
に雇用維持への取り組みなどを求めた決議を全会一致で採択した。参院
務局によると、同趣旨の決議は、1986年12月に衆参両院で「雇用の
安定に関する決議」が採択されて以来、22年ぶり。名称は「雇用と住居
など国民生活の安定を確保する緊急決議」。決議はまず、「現在、世界の
金融市場は百年に一度ともいわれる危機に陥っている」と指摘するととも
に、「今後、正規雇用者を含む大量の失業者の発生が憂慮される」と表明。
その上で、政府に離職者の住居確保、円滑な再就職、職業訓練などの支援、
生活保護制度の活用、企業への雇用維持のための十分な支援などを求めた。
一方で、企業に対しても「安易な解雇や内定取り消しに走ることなく、雇
用の維持、確保に全力で取り組むべきだ」とした。

 

これは何のための決議なのか、全会一致で採択するようなものであるとは
とても思えない。失業者が求めているのは、ただのパフォーマンスではな
く実行性のある対応である。米国発の金融危機を発端とする世界規模の景
気後退を前に、どの国も苦境に喘いでいるのだ。与野党が一致してこの危
機にあたるつもりで、この決議を採択したのならまだしも、野党は与党を
追い込んで解散に持ち込みたいであろうし、与党は何とか巻き返して勝て
るタイミングを待ちたいと異なる思惑を持っている。そのような与野党
何を期待すれば良いのか、大いに疑問だ。経済情勢が悪化している中で、
どう雇用を維持していくか、企業だけで対応出来る問題でもなかろう。無
理に雇用を守ろうとして、企業そのものを傾けてしまっては、共倒れであ
る。本当に雇用の安定を図るつもりなら、このような決議を採択している
場合ではない。それだけは言わねばなるまい。