自民党渡辺喜美行政改革担当相は12日夕、地元の栃木県大田原市
記者団に対し、離党する意向を正式に表明した。13日に行われる200
8年度第2次補正予算案の衆院本会議での採決前に、離党届を提出する。
離党の理由については、2次補正に盛り込まれた定額給付金の撤回に麻生
太郎首相が応じないことなどを挙げ、「抗議の意思を表明したい」と、補
正採決で反対する考えを強く示唆した。渡辺氏の離党は、自民党内では「
織り込み済み」とみられていた。しかし、内閣支持率の低迷に苦しむ首相
にはさらなる追い打ちとなるのは確実で、与党内では首相の求心力低下が
一段と進みそうだ。

 

渡辺氏の離党によって自民党内に多少の動揺はあったであろうが、これに
同調する動きは皆無に等しいだろう。渡辺氏は自民党の公認が無くとも、
強固な地盤がある以上は当選の可能性は十分にある。さらに明確に反麻生
を打ち出した一番手だけに、連日報道で名前が挙がり、認知度はさらに高
まっている。このような状況で渡辺氏に追随したところで、ただの売名行
為にしか映らず、逆に国民の不信を買うだけであろう。麻生政権は自民党
内の動揺を抑え、逆に政権固めの好機とすべきだ。通常国会は再議決の連
発で一気に押し通す、それしか選択肢が無い中で、麻生政権が上向くには、
これ以上ブレないことが肝心だ。