ブッシュ米大統領は12日、退任を8日後に控え、ホワイトハウスで最後
の記者会見を行い、オバマ次期政権が直面する最も差し迫った脅威として
「米本土への攻撃」を挙げ、「世界には、米国人に危害を加えようとする
敵が依然として存在する」と警告した。大統領はまた、北朝鮮の核開発問
題について、「北朝鮮はウラン濃縮計画を進めているとの懸念がある」と
述べ、北朝鮮に核放棄に向けた「厳格な検証体制を受け入れさせる必要が
ある」と改めて強調した。イラク戦争や経済危機への対応をめぐり、ブッ
シュ政権が非難にさらされたことに関しては、「最終的な評価は歴史の判
断に委ねられる」とした上で、「人気取りのために難しい決断を避けるの
は、私の性に合わない」と強調。さらに、「オバマ氏も似たような批判を
受けるだろうが、乗り切ってほしい」と述べた。

 

8年に渡ったブッシュ政権、やはり評価を左右するのはイラク戦争の開戦
ではないか。一般的にはイラク大量破壊兵器保有していると言う情報
を信じ、開戦を決断したとされる。だが、結局は大量破壊兵器は存在せず、
フセイン政権を崩壊させただけに終わり、その後の混乱は未だに収まって
はいない。また、政権末期には米国発の金融危機のため、一気に景気が後
退する状況に陥り、おそらく後世のブッシュ政権への評価はかなり厳しい
ものとなるだろう。我が国では小泉元首相がブッシュ大統領の蜜月関係を
構築し、インド洋での給油活動、イラクへの自衛隊派遣など積極的に米国
の支援をしてきた。だが、昨年は拉致問題が未だ解決しない中で、米国が
北朝鮮へのテロ支援国家指定を解除し、安易な成果を出そうとした、と失
望した人も多かったのではないか。未曽有の金融危機の前に、米国民のオ
バマ次期大統領への期待は非常に大きなものであろう。だが、期待が大き
いだけに、その反動もまた気を付けねばなるまい。