財政難に苦しむ自治体が民間企業に公共施設の命名権を売却する事業が、
不況のあおりで苦戦している。大阪府守口市は30日まで市民体育館など
4施設の命名権の売却先を募っていたが、応募はゼロ。守口市は、地元や
周辺市に本社がある三洋電機パナソニックなどの大企業からの応募を当
て込んで命名権導入を決めた。体育館や生涯学習情報センターなどについ
て1件あたり年間2300万〜500万円、契約は3年以上としてはじい
た増収の「皮算用」は計約2億円。昨年11月から受け付け、西口勇市長
トップセールスに回った。しかし、やはり企業の財布のひもは固かった。
泉谷延・企画財政部長は「値下げも検討しなくては」と話す。

 

売り込みに行った先が苦境にある電機メーカーだったのは、タイミングと
しては最悪なものだったと言わざるを得ない。ネーミングライツはもとも
とある公共施設に対する契約であるため、自治体にとっては元値がかから
ない美味しい商売だ。だが、広告効果と言う意味では企業も業績が良けれ
ば、多少の出費には目をつぶるであろうが、メディアへの広告すら絞りこ
んでいる中で、ネーミングライツに乗り出す企業はそう多くはない。守口
市にとっては文字通り取らぬ狸の皮算用となってしまったわけだが、現在
契約を結んでいる自治体にとっても、契約更新が容易なことではないのは
確かだろう。ネーミングライツビジネスは、景気後退期においては伸び悩
むのは当然と言えば当然なわけだが。