マンション分譲大手の日本綜合地所は5日、東京地裁に会社更生手続き開
始を申し立て、受理されたと発表した。子会社2社を含めた負債総額は約
2142億円。今年に入って最大の倒産で、2008年度でみると不動産
業では昨年8月に民事再生法の適用を申請したアーバンコーポレイション
に次ぐ大型倒産となった。マンション市況の悪化が企業経営に与える影響
が一段と拡大している。同日、都内で記者会見した日本綜合地所の西丸誠
社長は「債権者、株主の皆様にご迷惑をかけ、申し訳ない」と陳謝した。
ただ現経営陣が更生計画などに関与できる「DIP型」と呼ぶ会社更生手
続きの適用を目指し、引き続き経営を担うことに意欲を示した。経営破綻
を招いた責任を明確にしなかった点については、私財の提供などを「弁護
士と相談しながら考えたい」としている。

 

大規模な内定取り消しで有名となった日本綜合地所であったが、会社規模
で言えば首都圏第二位のマンション分譲業者である。景気後退が鮮明とな
った中で、マンション分譲業者にとっては、在庫が積み上がり収入が減る
一方で、用地取得に充てた借入金の負担が重くのしかかる。そこから抜け
出さないまま資金繰りが悪化し、会社更生手続きに追い込まれてしまった。
購入者の財布のヒモが堅くなっている以上、マンション分譲業者は販売価
格を低く設定せざるを得ず、さらに収益を悪化させる構造になってしまっ
ている。これを抜け出すのは容易なことではなく、内定が取り消された学
生にとっても、仮に入社してすぐに破綻となれば、準備も出来ないまま再
び就職活動をせねばならないところであった。現経営陣は引き続き経営を
担うことを目指しているようだが、果たしてそれを社員やマンションを購
入した人はどう感じるのか、それは言わずもがなではないか。