日産自動車は9日、2009年3月期の連結業績が従来予想していた2
700億円の営業黒字から1800億円の赤字になる見通しだと発表し
た。自動車販売の低迷と円高の逆風を受け、1600億円の黒字を見込
んでいた当期損益も2650億円の赤字に転落する。営業赤字は14年
ぶり、当期赤字は9年ぶり。ともにゴーン体制になってからは初めてと
なる。トムソン・ロイターエスティメーツによる過去30日間の主要
アナリスト10人の予測平均値は、営業損益が708億円の赤字だった。

 

かつて危機に陥った日産自動車を蘇らせたカルロス・ゴーン社長だが、
自動車業界が総崩れとなった今回の事態は予期出来なかったようだ。「
前回の経営危機は日産がミスを犯し、日産だけの危機だった」と指摘し
「今回は業界全体が問題を抱えている」と述べ、自身の舵取りに問題が
なかったことを強調している。自動車業界だけで無く我が国を代表する
企業であるトヨタ自動車ですら、赤字を計上している状態である。ゴー
ン社長の言うように車が売れないのは業界全体が抱えている問題だ。米
国発の金融危機によって、稼ぎ頭であった米国市場を当てに出来なくな
り、さらに新興国の市場も落ち込んでしまった。さらに国内市場は縮小
を続けており、業績回復の材料は他社のパイを食べるぐらいしか見当た
らない。ハイブリッドカーや電気自動車などが販売台数を爆発的に伸ば
すとは思えず、業界はまだまだ苦戦することだろう。