中川昭一財務相兼金融担当相は17日夕、首相官邸を訪れ、先進7カ国財
務相・中央銀行総裁会議後に、もうろうとした状態で記者会見した問題で、
麻生太郎首相に辞表を提出し、受理された。中川氏は辞表提出後、記者団
に「辞めた方が国家のためになると思った。首相から慰留の言葉はなかっ
た」と述べた。中川氏は17日昼、財務相で記者会見し、平成21年度予
算案と予算関連法案の衆院通過後に辞任する意向を表明していた。しかし、
野党が同日、参院に中川氏の問責決議案を提出し、今後の国会審議が極め
て厳しい状況になったことから、中川氏は同日中に辞表を提出することを
決断したとみられる。空席となった財務相と金融担当相は与謝野馨経済財
政担当相が兼務する。

 

ローマでのG7の会議で、中川財務相は「市場解放を要求していたアメリ
カが、 自国の都合が悪くなると、バイ・アメリカンでは問題だ」と米国を
批判している。こう言った姿勢は評価したいところであったが、会議後の
記者会見でもうろうとなった失態のため、辞表に追い込まれてしまった。
確かに、テレビで流れた姿は見るに堪えないものであった。一国の財務相
が公の場でもうろうとしていては、この金融危機の中で危機意識に欠けて
いると諸外国に思われても仕方がない。麻生首相にとって盟友であり、財
務相と金融担当相を兼ねる重要閣僚を失った打撃は想像以上に大きいだろ
う。ただでさえ苦しい麻生政権だが、この辞職は野党にとって攻勢の材料
を与えただけでなく、一国の財務相が公の場でもうろうとすると言う、国
民に対しても非常に分かりやすい形で失望をもたらしたことを忘れてはな
らないのである。