総務省が17日発表した地上デジタル放送に関する緊急調査で、2009
年1月時点の対応テレビやチューナーの世帯普及率は49・1%にとどま
り、目標の約58%はおろか、半数にも達していないことがわかった。普
及率目標との差は約9ポイントと、08年9月時点の約5ポイントよりも
拡大した。急速な景気後退の影響などで、地デジ対応機器の普及のペース
が落ちているためとみられる。総務省は、地デジ完全移行の約3か月前の
11年4月までに、世帯普及率を100%にする目標を掲げている。残り
2年2か月間で半数以上の世帯に普及させなければならないが、普及の実
態と目標の隔たりを早期に縮小する必要がある。

 

なぜ地デジ対応にしなくてはならないのか、その辺りがあいまいなまま普
及させようとしてきた総務省の見通しが甘かったと言わざるを得ない。未
だに半数にも達していない普及率をどうカバーしていくのか、景気後退の
影響をモロに受けた消費者にとって、今使えるテレビをわざわざ新しいも
のにしようとは思えないだろう。アナログのテレビをつけるとご丁寧に右
上にアナログと表示されるが、全くもって余計なお節介である。2月17
日から地デジへの切り替えを予定していた米国では、アナログ地上波テレ
ビ放送の停止を6月12日に遅延させる法案が成立している。デジタル化
に対応した機器の普及が間に合わず、無理に移行を予定通り行えば数百万
世帯がテレビが観られなくなる状態となっていた。我が国も残り2年2ヶ
月あるとは言え、普及率次第でスケジュールの見直しを迫られる可能性は
十分にあるのではなかろうか。