政府は20日、今国会への提出を目指して策定作業を進めている海賊対策
新法案での武器使用について、停船させるための船体射撃も認める方針を
決めた。麻生太郎首相が同日、首相官邸浜田靖一防衛相、石破茂農水相
らと会談し決定した。政府は現行の自衛隊法に基づいて海上警備行動を発
令し、3月上旬にもアフリカ・ソマリア沖に海上自衛隊護衛艦2隻を派
遣するための準備を進めている。海上警備行動の際の武器使用は警察官職
務執行法が準用され、正当防衛、緊急避難の場合以外に船体射撃を行うこ
とは原則、認められていない。このため新法では、公海上で海賊船が停船
命令に応ぜず、抵抗したり逃亡したりした場合にも船体射撃を認める。

 

この新法によって民間船に海賊船が接近した場合、正当防衛に当たらない
段階でも、停船命令に応じず、他に手段がなければ、船体を射撃でき、海
賊行為を抑止出来ることとなる。自衛隊を海外に派遣する際に毎度のよう
に、武器使用の基準が問題となるわけだが、停船させるための船体射撃が
可能となった点は評価したい。それには、まずはこの法案を成立させない
ことには何も始まらないが、3月上旬の護衛艦派遣が決定している以上は
その活動を妨げないよう、きちんとした土台作りを麻生政権はしなくては
ならない。また、当初は護衛艦の派遣を提案していた民主党も、協力する
義務があるのではないか。党内事情で対応に一致を見ないと言うのであれ
ば、それは最も恥ずべきことである。