平成21年度予算案は5日午前、参院予算委員会で実質的な審議が始まっ
た。麻生太郎首相は、衆院解散・総選挙の時期について「今は国民にとっ
景気対策や雇用対策が一番大事だ」と述べ、早期解散に難色を示した。
首相はその上で、「しかるべき時期に野党との違いをはっきりさせた上で
信を問うべきだ」と語り、政府・与党が追加的な経済対策を示した後に決
断する考えを強調した。一方、民主党小沢一郎代表の公設秘書が政治資
金規正法違反で逮捕された事件を受け、基本的質疑の冒頭で質疑に立った
民主党平田健二参院幹事長は「小沢代表も昨日の記者会見で国民への説
明責任を果たした。秘書の潔白や無実は証明されると思う」と主張。「小
沢代表を先頭に揺るぎなく政策を訴え、政権交代に向け不退転の決意で邁
進したい」と述べ、結束をアピールした。

 

次期衆院選では政権交代が実現すると意気込んでいた民主党にとって、小
沢代表の公設秘書が逮捕された事態に、さすがにとまどいを憶えているこ
とであろう。経済対策を打ち出した上で解散総選挙に打って出たい麻生首
相も、敵失によって支持率が上がるわけでもないことを理解しているはず
だ。社民党の福島党首は小沢代表の記者会見に対して「一応の説明責任は
果たしたと思う」と述べ、国民新党亀井久興幹事長は記者団に「小沢氏
ともあろう方が法律に反することを承知でされることはあるはずがないと
思うが、もっと事実関係がはっきりしてくるまで何とも言えない」と政権
交代後に連立を組むであろう両党にも少なからず疑念を持っているように
見える。それでも民主党にとって、小沢代表を担いで次期衆院選を戦う腹
積もりのようだ。小沢代表が決定的な打撃を受けた際に、彼らはいったい
どうするのであろうか。