テレビ朝日系のバラエティー番組「情報整理バラエティー ウソバスター
!」で1月10日に紹介したインターネットのブログが放送用に自作され
ていた問題で、総務省は31日、「過剰な演出があった」として同局に厳
重注意の行政指導をした。番組は「日本人が本当だと信じている知識の裏
にある『ウソ』を暴く」という企画。「つまようじに溝があるのは、そこ
で折ってようじ置きにするため」など6つのブログ記事を取り上げたが、
ブログの作成者から撮影許可が得られず、スタッフが自作したという。総
務省は「元のネット情報であるかのように視聴者に誤認させる方法だった」
「うち1つは、ネット情報の現存を確認できないまま、スタッフが記憶を
元に新たに作った」点を、過剰演出と指摘した。

 

「日本人が本当だと信じている知識の裏にある『ウソ』を暴く」と言う企
画で、ブログをでっち上げるとは、何とも皮肉な話ではないか。もはや過
剰演出を通り越したインチキである。テレビ朝日広報部は「今後はこのよ
うなことがないよう、チェック体制の充実、スタッフの意識の向上などに
努めて参ります」としているものの、折からの不況によってテレビ局はス
ポンサー離れが続き、軒並み減収となっている。業界全体が傾きかける中
で、まず手を付けるのは番組制作費の抑制であり、そのしわ寄せを受ける
のは劣悪な環境にある番組制作会社に他ならない。今回ブログを偽装した
のも、制作会社のスタッフが行ったことであろう。テレビ局は高給与体質
であるが、一方の制作会社は一部の例外を除いて文字通りのワーキングプ
ア状態にある。環境がそうさせたのかもしれないが、演出を通り越したイ
ンチキが許されるわけがない。