河村建夫官房長官は8日午前の記者会見で、沖縄県石垣市の大浜長照市長
が政府に対し、同市の行政区域にあたる尖閣諸島への上陸許可を求めてい
ることを明らかにした。ただ、河村氏は上陸を認めるかについて「関係省
庁と連携して、対応を検討中だ」と述べるにとどめた。尖閣諸島は日本が
実効支配しているが、中国も領有権を主張し、日中間の懸案となっている。
同市長の上陸許可要請の扱いによっては、12日にタイで開かれる東アジ
アサミットなどに影響が出る可能性がある。石垣市によると、目的は固定
資産税の実地調査で、大浜市長は国の許可を上陸の前提にしている。地方
税法では市町村長に対し「固定資産の状況を毎年少なくとも1回実地に調
査しなければならない」と定めている。

 

尖閣諸島は我が国固有の領土であるものの、今回の上陸許可の判断によっ
て大きな禍根を残すことにもなりかねない。これまで事なかれ主義に徹し
て、尖閣諸島を腫れ物にでも触るかのような扱いをしてきたのは、政府や
外務省などの省庁であろう。外務省は今回も「平穏かつ安定的な維持」を
目的に賃借し、「原則として何人も上陸を認めない方針を取ってきている」
との立場を崩してはいない。とりあえず中国を刺激するなと言わんばかり
ではないか。果たしてこのような姿勢を続けることが国益にかなうのであ
ろうか。自国の領土であるにも関わらず、関係する自治体の長すら上陸が
出来ない。中国が反発するからと言って、今のような状態を続けていくつ
もりなら、問題とせねばならないだろう。