防衛省は11日、東アフリカ・ソマリア沖の海賊対策に派遣された海上
衛隊の派遣部隊が、海賊の疑いのある不審船に追われた護衛対象外の外国
船舶から助けを求められ、大音響で警告する装置を用い追跡を防いだと発
表した。同様のケースは3月30日の派遣以来2度目。防衛省によると、
11日午後3時8分ごろ、派遣部隊が、アデン湾西部の日本関係船舶の集
合海域で待機中、近くを東方へ航行中のマルタ船籍商船が無線で周囲の船
に「海賊船に追われている」と救援を求めてきた。護衛艦さみだれ」が
不審船まで約5・5キロに接近し、同3時半ごろ特殊なスピーカーを使っ
て現地のソマリ語で海自艦艇と名乗ると、不審船は追跡を停止した。

 

海上自衛隊の派遣部隊は、法整備が曖昧なまま海賊対策をさせられており、
緊張を強いられる中での任務となっていることだろう。今回は我が国船籍
以外からの救援要請で、本来なら護衛の対象外となるのだが、さすがに要
請されていて、これを放置するのは人道的な観点からもおかしな話である。
対象外の外国船籍からの要請で不審船を追い払ったのは、問題であるとの
批判が出ないことを祈るばかりだ。大音響のスピーカーで不審船が逃げて
くれるなら、武器使用の判断基準が極めて難しい自衛隊においては、これ
幸いであろう。我が国もせっかく海上自衛隊から護衛艦を派遣しているの
であるから、今後とも海賊対策で活躍して欲しいものだ。