北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射した際、ロシアの情報収集機が日米両
国のミサイル防衛システムの運用を偵察していたことが15日、分かった。
北朝鮮からの発射時間帯の事前通報をもとに日本海で待機。日米のレーダ
ー網が実戦モードで照射した電波の周波数帯や、MD運用に伴う自衛隊
部隊の役割分担に関する情報を集めたとみられる。日本海を舞台にした激
しい情報戦の一端が浮き彫りになった形だ。偵察飛行を行っていたのは、
ロシア空軍の電子情報収集機「IL20」。防衛省によると、IL20は
これまでにも日本周辺への飛来が確認されている。先月にも2度、日本海
を偵察飛行しており、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進している。

 

北朝鮮のミサイル発射実験を利用する形でロシアは情報収集機を展開させ
ていたようだ。情報収集機はMDでの各レーダーの電波の周波数帯、照射
方法や探索パターン、レーダー同士の任務分担などを確認したとみられ、
周波数帯を把握されると、妨害電波でレーダーが無力化される恐れがある。
本来、情報収集機が飛来した場合、訓練であればレーダーの照射を控える
ことで、対応することが可能だが、今回は北朝鮮の発射に対処する実任務
だったため、自衛隊はレーダー網をフル稼働させざるを得ず、情報収集機
が何らかの成果を得た可能性が高い。これで我が国の手の内が筒抜けとな
れば、MDの運用に支障をきたすだけでなく、MDそのものが無力化され
かねない。領空侵犯をしたわけでもない以上、MDの情報収集をすること
自体は批判することが出来ず、ロシアが一枚上手だったとしか言いようが
ないのが残念である。