世界保健機関は5日、早ければ同日中に新型インフルエンザに関する警戒
水準を現行の「フェーズ5」から世界的大流行を意味する最高の「6」に
上げる方向で内部調整に入った。フェーズ6への引き上げ条件は、二つ以
上の大陸で人から人への持続的な感染が確認されること。メキシコと米国
を含むアメリカ大陸で持続的感染が見られているほか、スペインや英国な
どの欧州大陸でも二次感染が確認されており、WHOでは欧州での感染状
況を注視していた。ただ、WHOでは、「『フェーズ』は感染地域の地理
的な広がりだけを判定基準とし、症状の重さとは関係ない」として、冷静
な対応を求めてきた。「6」を宣言したとしても、渡航禁止、国境閉鎖な
ど社会・経済的影響の大きい措置は引き続き取らないよう各国政府に求め
る方向だ。

 

幸いにしても我が国では感染が確認されていないものの、新型インフル
ンザは世界各国で感染が広がりつつある。インフルエンザウイルスの活動
に適するとされる冬を迎える南半球での感染拡大が懸念されており、そも
そも十分な医療体制を持たないアフリカ各国に広がった際、現状の比では
無い感染者が出る恐れがある。むろんWHOが言うように、フェーズとは
感染地域の物理的な広がりを判定基準としているものであって、6に上が
ったからと言って症状が重くなるわけでもない。だが、ウイルスが変容を
繰り返し、毒性を増す可能性も捨てきれず、それゆえに早期の封じ込めが
求められているのだ。我が国でも大型連休で海外旅行に出ていた人々が帰
国してきているが、水際での阻止に全力を注いで欲しい。