民主党は19日、新執行部人事を正式決定し、鳩山由紀夫代表、小沢一郎
代表代行ら小沢代表時代の執行部に岡田克也幹事長を加えた「トロイカ
ラスワン」体制を本格始動させた。「親小沢系」「反小沢系」双方に配慮
した新体制に批判や不満の声は上がらず、「挙党態勢」はひとまず順調に
滑り出した。ただ、岡田氏は早速マニフェスト見直しに向けた調整に入る
など独自色を発揮。小沢氏は記者会見を行わない方針を決め、代表就任前
の「小沢流」に回帰した。「次の内閣」主要メンバーは再任された。「ま
ずは数々の国政選挙を乗り切り、政権交代一歩手前まで導いてくださった
前代表の小沢代行に心から感謝と敬意を表したい」。鳩山氏の常任幹事会
冒頭のあいさつは、小沢氏への謝意表明から始まった。小沢氏自身は「し
っかり頑張ります」とだけ語った。これに先立つ両院議員総会では、岡田
氏が「代表以外に小沢さんを含め重い代行が3人もおられる。私が支えき
れるかどうか」と冗談を飛ばし、出席者からは「頑張れー」とのヤジと笑
いが起こった。

 

小沢氏が選挙担当の筆頭代表代行になったことで、民主党執行部はますま
す小沢色を色濃くしていくことであろう。小沢一郎代表代行は定例の記者
会見を行わないことになったらしいが、鳩山代表は「(定例会見を)やる
かやらないかは政治家個人の判断。私は一切、かかわっていない」と述べ、
特別な配慮はしていないとの見方を示した。また小沢氏の「政治とカネ」
をめぐる問題について「小沢氏個人の問題であり、裁判で決着をつける話」
とし、説明責任を果たさせるつもりはないようだ。考えてみれば、鳩山・
小沢・岡田の3氏は自民党の出身であり、トロイカプラスワン体制は旧自
民党勢力が大半を占めることとなった。それに対して民主党の若手や中堅
がどう思っているかは分からないが、今は不満でも政権交代を実現してく
れれば良いと投げてしまっているのか。どうにも小沢氏の影がちらつく今
回の執行部人事に、誰が一番損をするのかと言えば結局は民主党そのもの
である。単なる看板の架け替えでは、有権者は納得しないであろう。