財務省が27日発表した4月の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差
し引いた貿易収支は前年同月比85・0%減で690億円の黒字だった。
輸出に持ち直しの動きが見られ、3か月連続で黒字を確保した。輸出額は
39・1%減の4兆1969億円で、2か月連続で対前年同月の減少率が
縮小した。輸入額は35・8%減の4兆1280億円だった。輸出額は米
国、欧州連合、アジア、中国向けでそろって減少率が縮小した。減少率の
縮小は、アジア、中国向けは3か月連続、米国向けは2か月連続で、EU
向けは世界的な経済危機が深刻化した昨年秋以降では初めてだ。財務省
「昨秋以降の落ち込みに一定の歯止めがかかった」と分析している。輸出
品目では、半導体などの電子部品が3か月連続、自動車が2か月連続で、
それぞれ減少率を縮小させた。電子部品は1月には52・8%減だったが、
4月は29・1%減まで持ち直した。2月に70・9%減だった自動車の
減少率も、4月は67・8%減だった。

 

我が国の経済を引っ張っていたのは、あくまで外需によるものだと痛感さ
せられたのは、リーマンショックに端を発する金融危機、そして景気後退
の波をモロにかぶった時である。金融危機では打撃の少なかったはずの我
が国も、金融危機で大打撃を受けた米国への輸出が鈍化し、米国市場で稼
いでいた自動車業界は総崩れの様相を呈していた。一時期もてはやされた
カップリング論では、米国経済が減速しても、中国、インドなどの新興
国の成長は続き、世界的な景気後退は避けられるとのことであったが、現
実にはその理論は破綻したと言わざるを得ない。今回、財務省が発表した
貿易統計を見ても、輸出の持ち直しの動きが見られるものの、まだまだ楽
観視は出来ないだろう。このようなことが起きるたびに外需依存の体質を
改善して内需振興を図る、と言った議論がなされるが、少子高齢化が進む
中で、社会保障費の重い負担を背負う現役世代の所得が改善されたわけで
もなかろう。それで内需振興を図ろうにも、無い袖は振れないのだから。