日米両国が英仏中ロと韓国に配布した北朝鮮に対する国連安保理決議の素
案の概要が28日、判明した。国連憲章第7章の下で行動するとうたい、
将来の軍事的強制措置に含みを残した上で、北朝鮮の核実験を「最大限の
表現で非難する」と表明。北朝鮮が「拉致問題を含む人道上の懸念」に対
応する重要性を強調している。2006年の1回目の核実験後に採択され
た対北制裁決議は、7章41条で定められた非軍事的措置に制裁を限定す
るため、「憲章7章下で行動し、41条に基づく措置を取る」としていた。
これに対し素案は「憲章7章下で行動する」とだけ述べ、制限を取り払っ
た。ただ、検討中の追加制裁に純軍事的な措置は含まれていない。

 

核実験を強行した北朝鮮に対して、国際社会がどのような対応を取るのか、
特に国連中心主義を掲げる民主党には良く見ておいて欲しいものだ。現在
の素案では、加盟各国に2006年決議に基づく対北制裁の即時実施を要
請、北朝鮮に対しては「すべての核兵器および核計画の放棄」を義務付け、
核実験・ミサイル発射の停止や国際原子力機関による監視受け入れなどを
要求し、6カ国協議への即時復帰も強く促している。だが、これらはあく
まで国連からの加盟国や北朝鮮に対する要求であって、全てが実行される
わけではない。我が国は北朝鮮との貿易総額は8億円にまで縮小している
ものの、減った分を中国がカバーしているとの見方もある。民主党がどの
ような事態で、国連に判断を委ねるようなことを想定しているのかは見え
てこないが、友愛外交などとと真面目に語る代表を掲げているようでは、
東アジアの安定は図れないだろう。