連邦破産法11条の適用を申請し、経営破綻した米自動車大手ゼネラル
・モーターズは2日、大型SUVブランド「ハマー」の売却交渉で、中国
四川省の重工業メーカー、四川騰中重工機械と暫定合意し、正式合意に
向けて詰めの協議を進めていると発表した。売却金額などの条件について
は、契約上、現時点では公表できないとしている。GMを代表するブラン
ドの中国企業による買収は、世界の自動車産業の主役交代を象徴するもの
として注目されそうだ。GMは経営再建策の一環として、世界に10以上
あったブランドを大幅に絞り込む方針を決め、昨年夏から「ハマー」の売
却先を探していた。しかし、燃費効率の悪い大型車のため売却先の選定が
難航、売却計画は宙に浮いた形となっていた。GMは9月末までにハマー
売却を完了するとしている。四川騰中は販売網も引き継ぐ見通しで、正式
に合意すれば販売店や製造工場など3000人超の雇用が守られる。

 

設立から101年目にして経営破綻に追い込まれたGM。小型で燃費の良
い自動車へのシフトが遅れ、利益率は高いものの旧態依然とした大型車を
メインに据えていたのでは、遅かれ早かれ破綻は免れなかったであろう。
優良資産とされたブランドを引き継ぐ新GM、それ以外のブランドを引き
継ぐ旧GMに切り分けが進むと見られ、新GMは「シボレー」「キャデラ
ック」「GMC」「ビュイック」の4ブランドのみで、今回売却先が暫定
的に決まった「ハマー」は、軍用車両を元にした大型車だけに、引き取り
手がないと見られていたブランドであった。ひとまず「ハマー」が片付い
てホッとしたことであろう。ブランドを切り売りすることで、新GMの重
荷を軽くすることは可能だろうが、あくまでそれはスタートラインに過ぎ
ない。事実上国有化されて、政府主導の元に経営再建が進められていく中
で、如何に売れる自動車を作れるか。GMは自動車会社である以上、売る
ものは自動車以外に考えられないのだから。