民主党鳩山由紀夫代表は、就任後初の外国訪問先に韓国を選び、李明博
大統領と会談した。北朝鮮の核実験を受け朝鮮半島情勢が緊迫化している
中で訪韓した背景には、日本にとって最大の外交・安全保障上の課題に積
極的に取り組む姿勢を示すことで、次期衆院選に向けて政権担当能力をア
ピールする狙いがあった。「私どもが政権を担うとき、日韓両国が今まで
以上に近い関係になれるための個人的な人間関係が築かれた」。鳩山氏は
会談後の記者会見で、成果を強調。李大統領が他国の野党党首と一対一で
意見を交わしたのは初めてだったことも誇らしげに紹介してみせた。会談
で鳩山氏は北朝鮮の非核化に全力で取り組む決意を表明。さらに「友愛精
神で戦争のない東アジアにするのも不可能ではない」と独自の平和外交を
披露した。一方、両国間に横たわる過去の歴史認識の問題についても「直
視する勇気を持っている」と言明し、麻生政権との違いを印象付けること
に腐心した。

 

鳩山代表の言う「友愛」との言葉には強い疑念を抱かずにはいられない。
一方的な友愛が、東アジアの緊張状態を解決する手段とはならないのは明
らかではないか。北朝鮮の非核化を成し遂げるには、鳩山代表の言う友愛、
平和外交だけではどうにもならないのだ。「友愛精神で戦争のない東アジ
アにするのも不可能ではない」との根拠はいったい何なのであろうか。さ
すがに李大統領も聞き流したと思うが、政権交代が実現すれば鳩山代表
首相の座に就き、臆面も無く友愛を唱えることになるのか。考えただけで
もぞっとする話である。例えば韓国側が実現を期待している在日外国人の
地方参政権問題に関しても、鳩山氏は付与に前向きとのことだがインター
ネット放送で「日本列島は日本人だけの所有物じゃないんですから」と言
い放っただけのことはある。鳩山代表は友愛精神に則って「朝鮮半島は韓
国人・朝鮮人だけの所有物じゃない」と言えるのか。個人で友愛を唱える
のは民主国家である以上は勝手だが、それを国益を左右するレベルで唱え
られては、結局のところ損をするのは我が国だけとなるであろう。鳩山代
表の外交姿勢を非常に危惧する。