ロイター通信は5日、米最新鋭戦闘機F22を日本に売却する場合、金額
は1機当たり2億5000万ドルになるとの見積もりを米空軍がまとめた
と伝えた。F22は日本の航空自衛隊の次期主力戦闘機の有力候補ながら
生産が中止される見通し。日本向けに売却する可能性があるのかが焦点と
なる。日本はFX選定にあたってF22を主力候補のひとつとして検討し
てきた。しかし高度な軍事技術のため、対外的な情報開示や輸出を禁じる
米国内法があり、現状では日本が調達することはできない。さらに、ゲー
ツ米国防長官は4月にF22の新規発注の停止を決めており、生産中止の
可能性が濃厚になっている。ロイター通信によると、米上院歳出委員長の
ダニエル・イノウエ議員がF22を売却する場合の見積もりを日本政府に
書簡で送付した。同議員は輸出解禁を支持しているという。日本への売却
には法改正が必要で、米議会の動きが焦点となる

 

航空自衛隊は次期主力戦闘機の導入にあたって、軍備の拡張が続く中国や
緊張感の高まる朝鮮半島情勢を見据えれば、何は無くとも高性能のF22
を導入したいとの思いは強かったことであろう。しかし、海上自衛隊でイ
ージス艦の機密漏洩などが起きた結果、米国から見れば高性能機を売ると、
そのまま情報が漏れてしまうとの懸念が強まり、F22は法規制の対象と
なり、導入は頓挫。さらに米国発の金融危機からの世界的景気後退もあり、
生産コストが非常に高いF22の新規調達が米国でも停止され、待てば状
況が変わることも無くなってしまった。今回、ダニエル・イノウエ議員が
F22を売却する場合の見積もりを我が国政府に書簡で送付したのは、2
億5000万ドルもの戦闘機を文句も言わずに購入してくれるのは、我が
国くらいのものだったからではないか。いずれにしても、この話が実現す
るには法改正が必要であるし、1機あたり2億5000万ドルのコストが
妥当か、疑問の声が上がることだろう。絶対に落ちない戦闘機が有り得な
いように、F22とて将来にわたって無敵ではあり続ける保証は無いのだ。