鳩山邦夫総務相は12日午後に官邸を訪れ、麻生太郎首相に辞表を提出、
首相も受理した。麻生首相日本郵政の社長人事について西川善文氏を続
投させる方針を固めたが、一貫して再任を認めないと主張してきた鳩山総
務相との調整が最後までつかず、早期の事態収拾に向けて事実上の更迭に
踏み切った。郵政社長人事をめぐる混乱は鳩山総務相の辞任というかたち
で決着した。後任は佐藤勉国家公安委員長が兼務する。鳩山総務相は、麻
生首相との会談後、官邸内で記者団に対し、「世の中は正しいことが通ら
ない時があるとの思いだ。今の政治は正しいことを言っても認められない
ことがある。正しいことが通用しないなら、潔く去ることがいい」と辞任
に至った胸中を語った。今後の麻生政権との関係については明言を避けな
がら、「今回の総理の判断は間違っているが、今後は正しい判断で政治を
やっていただくことを信じている」と指摘。自民党離党の可能性も含めて
「仲間たちと相談する」とし、兄の鳩山由紀夫民主党代表との連携につ
いて「全て将来の課題。連携はないでしょう」と語った。

 

自民党に大勝をもたらした4年前の郵政選挙公明党と合わせると衆院
3分の2を押さえる巨大与党を誕生させ、高い支持率を最後まで維持し続
けた小泉元首相は自民党にとって救世主となった。我が世の春を謳歌して
いたわけだが、安倍政権が参院選で大敗し、その後を受け継いだ福田政権
も低い支持率の前に衆院選は戦えないと判断され、国民の人気が高いとさ
れた麻生首相が担ぎ出された。今回、辞任した鳩山総務相は麻生陣営の選
対本部長を務めるなど、麻生首相にとって盟友と呼んで良い仲であったこ
とだろう。日本郵政の西川社長の続投をめぐって、どこかで落とし所が見
付かるとの思惑も盟友だけにあったのではないか。結局、正義を振りかざ
して鳩山総務相は引かなかったかのか、引けなくなったのかは知らないが、
そのまま辞任と相成った。総務相のポストは、佐藤勉国家公安委員長が兼
務することになるが、これを機に内閣改造も視野に入ってくるはずだ。党
内の混乱を収めるには、麻生首相のぶれないが必要である。