靖国神社は12日、総代会を開き、1月に急逝した南部利昭前宮司の後任
に、京極高晴氏を決めた。就任は15日付。南部氏に続き、2代続けて旧
華族神職経験のない民間企業出身者の宮司となる。京極氏は旧但馬豊岡
藩の藩主だった京極家15代当主。東大法学部卒業後、日本郵船事業部長、
氷川丸マリンタワー社長、関東曳船社長などを歴任した。第10代宮司
任に当たって京極氏は、「御創立140年にあたるこの年に、宮司の大役
を仰せつかることとなり、身の引き締まる思いでいっぱいです」とのコメ
ントを出した。前宮司の南部氏は1月7日、虚血性心不全のため急逝。後
任人事は難航し、宮司は5カ月間、空席となっていた。

 

南部宮司の急逝によって、後任人事が急がれたわけだが、とかく注目を集
めがちな靖国神社宮司を引き受ける人は少なかったようだ。春季例大祭
宮司が空席のまま行われ、来月にはみたままつりも控え、これ以上の空
席は支障をきたしていたであろうし、無事に後任が決まった良かったと言
ったところである。靖国神社も創立から140年を迎え、大東亜戦争の敗
戦から64年が経ち、戦没者の遺族も多くが亡くなっている。小泉元首相
が在任中は毎年参拝したことで、それに共感して多くの人々が終戦記念日
には参拝をしたが、近年は参拝者が減少していると聞く。最近は靖国神社
を巡る動きは静かなものであるが、存在そのものまで風化してしまっては
意味が無い。戦没者を慰霊する施設は、靖国神社がその役割を果たすのだ
と言うことを、京極宮司には求めて欲しい。