急死した三沢さんをしのび、プロレス界が合同で追悼興行を行う可能性が
出てきた。新日本プロレスの菅林直樹社長は14日、東京・後楽園ホール
で「ノアが落ちついてからでしょうが、そういう話も起きると思います」
と前向きに話した。05年7月に橋本真也さんが急逝した時も合同興行開
催の機運が高まったが、各団体の思惑もあって実現しなかった。あくまで
ノアの意向を尊重するが、同社長が「現在は3団体が協調路線を取り、業
界を盛り上げていこうとしている」と語るように実現の可能性は高い。日
本のプロレスは新日本と全日本の対立構造から始まり、最近では3大メジ
ャーと呼ばれるノア、新日本、全日本が独自の路線を歩んできた。ところ
が、人気低迷もあって再編成の動きが活発となっている。ノアと新日本は
今年1月4日の新日本・東京ドーム大会に三沢さんらが出場したのをきっ
かけに急接近。最近はレスラーの健康管理を目的とした「ライセンス制度」
新設を目指し、話し合いの場が設けられるようにもなった。そこに武藤敬
司率いる全日本も加わり、交流戦も頻繁に行われている。

 

人気低迷にあえぐプロレス界にとって、三沢光晴と言うレスラーを失った
ことは想像以上の打撃となったことであろう。新日本、全日本、ノアで3
大メジャーと呼ばれながらも、すでにかつての勢いは無いのが現実だ。三
沢選手が社長を務めていたノアも、日本テレビが地上波中継を打ち切り、
1億5000万円から2億円と言われた年間の放映権料が吹き飛んでしま
った。貴重な収入源を断たれたことで、社長の三沢選手も金策には随分と
苦労させられたのではないか。選手兼社長では、練習時間も減らさざるを
得なかったであろうし、長年無理をしてきたために身体も相当傷付いてい
たであろう。それでも、最前線に立ち続けた三沢選手は文字通り「プロ」
レスラーであったと言うことだ。今回、追悼興業の話が出ているわけが、
これを機に団体の再編成が進む可能性も出てきた。現在のプロレス界は年
々小さくなっていくパイを取り合っている状態である。むろん団体が再編
成をすることで、そのままファン層が増えるわけではなく、単純な再編成
でそのまま成功を意味しない。追悼興業が実現すれば、今後のプロレス界
の姿がおぼろげながら見えてくるかもしれないが。