河村建夫官房長官は29日午前の記者会見で、自民党内の総裁選前倒しを
求める動きについて「表紙(総裁)をすげ替えただけで国民は理解してく
れるのか」と述べ、けん制した。その上で、「選挙を前にして党が結束を
図ることが大事。党内の乱れが、結果的に自らに降り掛かる」と述べ、麻
生太郎首相の下での結束を訴えた。首相は自民党細田博之幹事長と27
日に今後の政治日程をめぐって会談した際、臓器移植法改正案など三つの
重要法案の成立を目指すよう指示した。これについて、河村長官は「首相
は『政局より政策』、経済対策を中心にこれまで進めてきた。成立の見込
みのあるものは、どんどんやってほしいということだ」と説明。会談の結
果、首相が検討していた自民党役員人事が見送られる方向となったことに
関しては「少なくとも公の形で、『そういったことを言ったことはない』
と言っている」と指摘し、解散の時期については「首相が適宜適切に判断
する」と語った。 

 

自民党内で公に語られるようになった「麻生降ろし」に対して、釘を刺す
ための発言と考えられるだろう。安倍政権、福田政権、そして麻生政権ま
でが任期途中で放り出すような事態になれば、誰が次期総裁になろうとも
有権者の支持を得られるはずがない。批判されようともあらゆる手を尽く
して、支持率浮揚を目指すのだと、場当たり的な対応をすればするほど信
頼を失うのだ。自分達で選んだ総裁を一年足らずで辞めさせる、それがど
れだけ卑劣なことかを考えるべきだろう。長きに渡って政権政党の座にあ
ったが故、下野することを極端に恐れるのが自民党である。すでに政権交
代は確実との情勢の中で、一議席でも落すまいと粛々と結束を固めること
が出来ないものだろうか。むろん、民主党も小沢氏の西松建設献金問題
や、鳩山代表故人献金問題など、政治とカネの問題を抱え込んでいる事
実は見逃せない。