自民党青森県連は29日、衆院選青森1区で、政界引退を表明した津島雄
二元厚相の後継候補に津島氏の長男で秘書の淳氏を選出した。公募の形を
とりながら最終的に世襲した形になり、一部の「出来レース」という批判
の声にどう応えていくかが浮沈のカギを握りそうだ。「公募の中で広く判
断を仰ぎ、決定した」。大島理森県連会長は決定後の会見で、世襲候補と
の見方に即座に反論してみせた。淳氏も「公正な手続で決定してもらった。
あとは選挙戦で有権者が判断すること」と批判の矛先をかわした。県連は
公募に応じた県内外20人の中から、事前に6人に絞って選考に臨んだ。
一部に「淳氏を擁立するための出来レースではないか」と訝る声もあるが、
大島会長は「まったくない。だからプロセスを踏んだ」と語気を強めた。

 

政治家への世襲批判がこれだけある中で、突如として引退を表明した津島
雄二氏の後継候補は結局自身の長男が選ばれた。引退が急だっただけに、
公募をしたところで有力な候補が集まらなかった、との見方も出来るが「
地盤、看板、鞄」を引き継げる世襲候補が批判されるのも当然である。政
治が家業になっているのは我が国くらいのものではないか。自民党に対す
る逆風が吹き荒れる中で、世襲候補の立候補制限を主導してきた菅義偉
挙対策副委員長は「公認決定権は党本部にある。選対を預かる立場として
は公認すべきではないと考える」と公認を出さない方針を示している。む
ろん、無所属で出馬して当選後に自民党入りする裏ルートもあるだろうが、
世襲そのものの批判は避けられない。この選択が他の選挙区にも影響する
ことが考えられる以上は、十分に気を付けて判断すべきだろう。