西日本高速道路の石田孝会長は21日、大阪市内で記者会見し、民主党
衆院選マニフェストに盛り込んでいる高速道路の原則無料化について、
「社会の健全化と逆行するお金の使い方」などと厳しく批判した。同会長
は、無料化に伴い高速道路で大渋滞が発生し、救急車両の通行に支障が出
るなどして「人の命を奪う懸念がある」と指摘。このほか、無料化による
弊害として、二酸化炭素削減の流れに逆行する、フェリーや鉄道など他の
運輸業界に打撃を与える、料金徴収業務に当たる社員ら全国で2万人の雇
用がなくなるなどを挙げ、無料化に反対する姿勢を示した。 

 

現在行われている高速道路の土日の1000円乗り放題にしても、フェリ
ーや鉄道、航空会社などに少なくない影響を与えている。これは2年間の
限定措置だったとは言え、本来の通行料分の補填をするためにいわゆる埋
蔵金が投入されているのだ。埋蔵金は降って沸いた金では無く、あくまで
税金である。言ってみれば自動車に乗らない人や高速道路を利用しない人
の分までが高速道路にのみ投入され、受益者負担の原則には反している。
高速道路が無料化されれば行き来が活発になり、地方にも活気が戻るよう
な画を描く向きもあるが、果たしてそうなるのであろうか。第一、普通の
人が高速を利用するのは休みの日ぐらいのものであって、目的も無しに利
用することはない。他の交通機関への影響を考えれば、高速道路のみ偏重
した政策が受け入れられるはずがなかろう。