政府は25日の給与関係閣僚会議と閣議で2009年度の国家公務員一
般職の給与について、月給と期末・勤勉手当をともに引き下げるとした
人事院勧告を完全実施することを決定した。月給を平均863円、ボー
ナスを過去最大の0・35か月分引き下げる内容で、平均年収は前年度
比15万4000円減の635万6000円となる。総務省によると、
人事院勧告の完全実施を8月中に決定したのは1973年以来。政府は
秋の臨時国会に一般職給与法改正案など関連法案を提出する方針だが、
30日の衆院選の結果、民主党が政権を獲得した場合は仕切り直しとな
る見通し。政権公約で「国家公務員の総人件費2割削減」を掲げる民主
党は、今回の閣議決定をいったん白紙に戻すものの、改めて勧告内容を
完全実施する閣議決定を行い、関連法案を秋の臨時国会に提出する考え
だ。同党幹部は「労働組合から反対の声も出るだろうが押し切る」とし
ている。

 

民主党の支持母体はかつて社会党を支援していた労組であり、その中に
は公務員の労組である自治労も含まれている。年金問題が争点となった
2007年の参院選では、自治労の推した中央執行委員の相原久美子
が約50万票を獲得し、民主党比例代表候補者の個人得票としては第
1位となるなど、その力はまだまだ衰えたとは言えず、衆院選での民主
党の大勝によって、さらに力を増す可能性がある。公務員制度改革はこ
れまで遅々として進まず、天下りの廃止や給与のカットにはそう簡単に
は踏み込めなかった。そんな中で民主党は、非現業公務員に対する労働
基本権の付与についてを強く主張しているのは、自治労の意向を受けて
のことではないかと勘繰りたくなる。労働基本権の付与には、手厚い身
分保障を無くすことが前提条件である。誰もが気にしているのは、自治
労の支援を受ける民主党が本当に公務員改革に取り組めるのかと言うこ
とであろう。「国家公務員の総人件費2割削減」が嘘ではないことを証
明するのは義務である。