民主党鳩山代表は、16日の首相指名を前に、小沢代表代行の幹事長起
用を決め、鳩山政権の組閣・党役員人事を本格化させた。「剛腕」と称さ
れ、1990年代の政界再編の主役でもあった小沢氏の幹事長起用に対し、
与野党に波紋が広がっている。鳩山氏は4日朝、東京・田園調布の私邸を
出る際、記者団に「小沢氏にはどんな幹事長になってほしいか」と問われ、
「通常のまま」と笑みを浮かべた。小沢氏の起用について、鳩山氏に近い
党幹部は4日午前、「来夏の参院選は、単独過半数を確保し、安定政権を
築けるかどうか最大の山場だ。政権交代を実現させた小沢氏の力が必要だ」
と強調した。ただ、小沢氏に距離を置く議員には警戒感もある。

 

「壊し屋」と有り難くない異名を持つ小沢代表代行だが、悲願であった政
権交代を実現させておきながら、それをあっさり放り出すほど間抜けでは
無いだろう。だが、衆院選大勝の功労者として党内でイニシアチブを握る
のは幹事長に起用されたことからも明らかである。すでに来年の参院選
向けて動き出しており、選挙に強い小沢氏の力は欠かせないと周囲が納得
すれば、この人事には誰も異論は挟まないはずだ。もっとも、西松建設
偽装献金事件が片付いていないのが小沢氏の弱点でもある。幹事長ともな
れば、定期的な記者会見を求められるであろうし、さらには健康問題も抱
えている。選挙担当として自由に動けた代表代行とは役割が大きく異なる。
それでも、膨張した党内をまとめられるのは小沢氏しかいないと鳩山代表
が判断したのであれば、ひとまずは落ち着く話ではなかろか。