総務省が9日発表した国内放送事業者の2009年3月期収支状況による
と、地上波テレビ・ラジオ局計195社全体の純損益は212億1900
万円の赤字だった。前年度は620億4200万円の黒字だった。赤字転
落は資料上確認できる1976年3月期以来初めて。195社中、純損益
が赤字だったのは半数以上の107で、前年度の64社から大幅に増えた。
地上波テレビ局の収入の柱である広告費収入は前年度比4.5%減の1兆
9092億円だった。同省は「広告費の減少傾向が続いており、経営に影
響を与えている」と分析している。 

 

今でもそうだろうが、学生が就職を希望する会社の上位には民放のキー局
が名前を連ねている。むろん漠然と給料が高い、いわゆる業界人への憧れ
がそうさせると思われるが、景気後退の影響による広告費の減少が主な要
因で赤字に転落する放送局が続出している。もともと体力の無い地方局は
キー局が支援することで、赤字を免れていた。だが、支援する側のキー局
も苦しい状況に追い込まれ、映画や不動産と言った放送外収入の獲得のた
めに試行錯誤している。公共の電波などと言っておきながら、自社製作の
映画を番組内で延々と宣伝するのが良い例である。放送業界より、さらに
苦しいのが新聞業界であり、大手紙も遅まきながら人件費のカットに手を
付け始め、なりふり構っていられないのが本音だろう。景気が回復に向か
ったとしても、以前のような「商売」が続けられることは無い。広告費で
食ってきた業界だけに、広告費が断たれれば野垂れ死には確実だ。