日本郵政の経営形態の見直しを巡り、亀井静香金融・郵政担当相が18
日の閣議後会見で、原口一博総務相が17日夜に出演したテレビ番組で
示した見直し案に対し「担当大臣は私。あの方の個人的な意見だ」と不
満を漏らす一幕があった。原口総務相はこれまで「新しい郵政事業の改
革法案を協力しながら出す」と話してきたが、連立政権発足3日目にし
て早くも不協和音が響いた。原口総務相は17日夜のテレビ朝日の報道
番組で、郵便局の全国網を維持するため「持ち株会社と郵便局会社、郵
便事業会社を一緒にする」との見直し案を明らかにした。しかし、国民
新党内では、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の2社も含めて一つの会社に統
合する考えも根強く、亀井担当相は「主管事業ではなく、絵を描く立場
でもない。もちろん相談はするが、責任は私にある。そういう意味では
白紙」と反発。一方、原口総務相は18日の閣議後会見で「一つの例で
す」と繰り返し、火消しに追われた。

 

国民新党郵政解散の際に、民営化に反対して自民党を追い出された面
々が結成した政党だけに、郵政に関しては絶対に譲れないところだろう。
むろん、かつて自民党の集票マシンだった特定郵便局長らの家族やOB
で作る政治団体「大樹」が国民新党のバックについており、その意向を
無視することは出来ないこともある。その国民新党の亀井代表が郵政問
題担当相に就任したことで、民社国の連立政権にとって、不協和音を呼
ぶ火種となりかねない。当選回数だけなら、三党の代表、党首の中では
一番多いベテランであり、小政党ながらも野党時代も一定の影響力を発
揮してきた。もともと郵政事業を所管するのは総務相と言うことで、も
ともとは亀井氏は総務相のポストを欲していたとされる。だが、地方分
権なども抱える総務相は譲れない線だったのだろう。鳩山代表は亀井氏
を金融・郵政担当相に就けて、無事に型にハマったと思いきや、亀井代
表は金融担当相として、借金返済の猶予制度、いわゆるモラトリアムを
ブチ上げ、銀行株が投げ売りされるきっかけを作っている。むろん、藤
財務相はモラトリアムについて「聞いていない」とし、早くも足並み
が乱れ始めている。民主党単独では過半数を超えていない参院での数合
わせによる連立とは言え、亀井代表も相当にしたたかな策士と呼べるの
ではなかろうか。