広島市秋葉忠利市長は25日、国連安保理首脳会合で「核なき世界」を
目指した決議が採択されたことを受け、「子供たちの未来に、大変素晴ら
しい出来事だ。歓迎したい」と述べた。秋葉市長は、核廃絶に向け日本が
先頭に立つ決意を表明した鳩山由紀夫首相の演説について、「日本の総理
大臣として、被爆者の思いを国際社会にきちんと訴えてくれた」と高く評
価した。その上で、「首相の決断は日本外交を大きく変えた。核廃絶を目
指し、オバマ米大統領と手を携えて世界を引っ張っていってもらいたい」
と賛辞を送った。 

 

「核なき世界」を目指す決議、言葉を額面通りに受け取るには、世界情勢
はあまりに複雑すぎて難しい。オバマ大統領自身も、プラハで表明した「
核兵器のない世界」が今すぐにどうこうなる問題では無く、自分が生きて
いる間にすら、この動きが進んでいくとは考えていないだろう。米国が重
視しているのは、核兵器の拡散を防止し、新たに核兵器を持つ国を作らな
いことである。また、仮に「核なき世界」が早急に実現しても、米軍は通
常戦力でも他国を圧倒している。核兵器の莫大な運用コストが無くなれば、
それは願ったりかなったりだろう。そして「核なき世界」が実現した後に
残るのは、疑心暗鬼なのではなかろうか。核兵器の製造が国家予算を傾け
た時代とは変わり、技術と材料さえあれば、作れないことは無い時代とな
っている。インターネットで原爆の製造法が手に入る、それが例えの世界
では済まないのだ。製造技術を完全に消し去ることは出来ない以上、誰か
が持つのではないか、誰かが使うのではないか、そんな疑念が常に渦巻く
のである。果たして、それが誰もが望んだ「核なき世界」なのであろうか。