政府は10日、当初年末を予定していた新たな防衛計画大綱と次期中期防
衛力整備計画の策定を、来年に先送りする方向で調整に入った。いずれも
日本の安全保障政策の根幹にかかわる内容であるため、拙速な検討は避け、
鳩山政権としての基本方針を時間をかけて議論する必要があるとの判断か
らだ。連立を組む社民、国民新両党とも協議し、最終決定する。防衛大綱
は、将来の防衛力整備の在り方をまとめたもの。2004年末に閣議決定
した現大綱には、5年後の見直し規定が盛り込まれている。一方、中期防
は5年間の主要装備品の整備計画を定めており、現中期防は09年度まで
が対象となっている。

 

防衛大綱とは我が国の安全保障政策の根幹であり、拙速な検討は避けるべ
きなのは間違い無いが、それが先送りを意味するものであってはならない。
予算編成で忙殺されていることを理由にしているが、民主党が掲げる緊密
で対等な日米関係の実現には、米軍任せだった東アジアの安全保障を自衛
隊が一部にせよ担うことを意味する。単なる理念だけでは対等な関係を築
くことは出来ず、定員割れ状態の自衛隊をどう再構築していくのか。社民
党とも協議するとあるが、話をまとめられるのかは大いに疑問である。事
実上の軍拡を意味することを、社民党が容認するとは思えないのだ。政権
政党として、国家の根幹である安全保障政策を疎かにすることは許されな
い。真剣に国防と向き合うべきである。