藤井裕久財務相は11日、民放のテレビ番組で、2009年度補正予算
直しで見込まれる執行停止額約3兆円について、「どこに使うかはこれか
らの経済がどうなるかの問題。12月に決める」と述べ、12月時点の経
済見通しを踏まえて使途を判断する考えを示した。同財務相はこれまで、
判断時期を「秋が深まるころ」としていたが、12月と明言した。また、
「補正では3兆円を執行停止するといわれているが、根っこだって問題が
ある」とも指摘。補正予算だけではなく、09年度当初予算を見直す可能
性も示唆した。ただ、「個人的意見は避けたい」として具体的な言及はし
なかった。 

 

藤井財務相ガイトナー米財務長官との会談で「円安政策は採らない。為
替は不介入が原則」と発言したとされ、円高を容認したわけではないと後
から釈明したものの、円高の進行は止まらない状況にある。対ドルで90
円を割り込む円高水準では国内輸出企業への影響は避けられず、藤井氏の
不用意な発言が企業の足を引っ張る結果となったのではないか。そして、
今回の補正予算見直しで捻出した3兆円を、遅まきながら景気対策に使用
する可能性を示唆している。だが、もともと補正予算自体が景気対策に重
点が置かれて編成されたものであったはずだ。それを削減して、当初は子
ども手当ての財源に充てようとしたのは、民主党ではなかったのか。政権
交代の余韻に酔いしれていた中で、景気の悪化にさすがに目を向けなくて
はならなくなったのだろう。あれだけ大騒ぎをしておきながら、景気対策
を今さら打ち出すとは、呆れてものが言えない。